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Tsuguo Yanai ーFiber Drawingー 10.21~11.2

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《遺物》
128×89 cm (全20点)
楮、パルプ、染料
2018〜2019

柳井嗣雄展 「遺物」シリーズ‐Fiber Drawing‐
10月21日(月)~11月2日(土)
15:00~20:00 最終日午後6時まで 
28日(月)休廊
レセプション 10月26日(土)17:00~
11月1日(金)18:00よりイベントあります。(無料)
ボイスパフォーマー:徳久ウィリアム
 
《遺物》(世紀末版)は、20世紀の終わり(1997年から1999年の間)に制作した20体の頭像のシリーズです。20世紀中に亡くなった、私にとって重要な人物(ジョン・レノン、マザーテレサ、アンディ・ウォーホール、三島由紀夫など)で構成された一組の作品として世紀末(2000年)に発表しました。太古の地層から発掘されたように、穴だらけで色あせたその巨大な頭たちは、金網の上に紙の繊維を漉き絡めて成型し、その後、一ヶ月天日干しされ自然の力で完成した作品でした。
今回展示する《遺物》(平成版)は、昨年から平成という時代が終わる今年(2019年)にかけて制作したその平面バージョン20点です。黒く染めた紙原料を流しながら紙漉き工程の中で描いていく。個人的な手わざを出来るだけ消し去るために、落水という技法で上から水滴を落とし小さなドットのような穴を開ける。最後にバックとなる白い楮の和紙原料を全体に流し込む。板張りして2日間天日乾燥する。このような作画工程は私の35年間の紙漉き経験の中から生まれた技法で、“ Fiber Drawing ” と名付けてみました。
図像は版画のように反転して現れますが、始めからそれを計算に入れながらリアルに描いていかなければいけない極めてアナロク的な作業です。穴を無数に開けて主観的イメージを物理的にあいまいにし、薄れいく記憶をかろうじて留めるやり方は立体の「遺物」シリーズの場合と同じ。拡大して見ると紙も図像そのものも植物繊維の集合(和紙)で出来ているのが見て取れるはずです。
彼らは単なる歴史上の人物ではなく、現代の高速デジタル化社会の中で、すぐに色あせて薄れてしまう我々の記憶の死を暗示しています。つい最近亡くなった人物ですら、たちまち記録上の遺物と化してしまう風潮を映し出しているのです。最初の「遺物」制作から20年の歳月が流れてしまいました。便利さと引き換えに人間がデジタル化され、人工知能はますます人間に近くなって来ています。実在性、身体性を伴わない情報や記憶と我々はどう対峙していくのでしょうか。(柳井)
 
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柳井 嗣雄(美術家、和紙造形)略歴
1953 年 山口県生まれ。1977 年 創形美術学校版画科卒業する。1978‐80 年 スタンリー・W・ヘイターに師事(アトリエ17、パリ)。 ’80 年より銅版画家としてスタート。一方で、’89 年まで銅版画刷り師として活動する。2008 年まで「ふるさと工房五日市」和紙工房主任、2006‐11 年 くにたち文化・スポーツ振興財団理事、2002‐19 年 女子美術大学講師として勤務。
版画用紙を自ら漉き始めたのをきっかけに1985 年より紙の作品制作、ペーパーワークを開始。物の在り様を、風化して消えてゆく物質的存在と、記憶やイメージとして現れる精神的存在とし、「物質と生命の記憶」をテーマにしたインスタレーション作品を特長とする。現在は飯能市でPAS 和紙アートスタジオ主宰。楮栽培から原料作り、様々なペーパーワーク技法の研究、開発、指導を行う。
「日本国際美術展」佳作賞(’90 年)、「現代美術今立紙展」優秀賞(’86,’89 年)、大賞(’90 年) 受賞。「白州・夏フェスティバル」、「和紙のかたち」(練馬区立美術館)、「紙と現代美術」(イタリア)、「第1回アジア パシフィック トリエンナーレ」(オーストラリア)、「Nature‐素材と表象」(イスラエル)、「国際ペーパーアート&シンポジウム」(台湾)、「Paper Object Festival 」(ラトビア)、「D’un bord à l’autre,Traverser la surface」(フランス) などに出品。ギャラリー21+葉、ギャラリーαMなどで個展多数開催。